犯人蔵匿・証拠隠滅

~犯人蔵匿・犯人隠避~

1 犯人蔵匿罪

犯人蔵匿罪とは、罰金以上の刑に当たる罪を犯した者・拘禁中に逃走した者を蔵匿することで成立する犯罪です(刑法103条)。

「罰金以上の刑に当たる罪」とは、法定刑に罰金以上の刑罰が含まれている犯罪のことです。従って、拘留又は科料だけが規定されている犯罪は含みません。

「罪を犯した者」とは、捜査を受けている真犯人に限らず、捜査開始前の真犯人や、犯罪の嫌疑によって捜査中の者も含まれます。

「拘禁中に逃走した者」とは、法令により拘禁された者で、逃走した者のことです。

「蔵匿」とは、場所を提供して匿うことです。

 

2 犯人隠避罪

犯人隠避罪とは、罰金以上の刑に当たる罪を犯した者・拘禁中に逃走した者を隠避させる犯罪です(刑法103条)。

「隠避」とは、場所を提供して匿う以外の方法で、発見・逮捕を免れさせる一切の行為を言います。

なお、犯人が自らの身を隠すことや、変装等の手段を使って行方をくらますことは、犯罪ではありません。もっとも、犯人が第三者に自分のことを匿ってくれるよう依頼し、その第三者が犯人蔵匿罪を犯した場合は、第三者に罪を犯させたということが防御権の濫用であるとして、犯人にも犯人蔵匿罪の教唆犯が成立します。

 

~証拠隠滅~

証拠隠滅罪とは、他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の証拠を使用することで成立する犯罪です(刑法104条)。

証拠隠滅等罪の対象は「他人の刑事事件に関する証拠」です。自分の刑事事件の証拠を隠滅することは、犯罪にはなりません。

「隠滅」とは、証拠が表れることを妨げたり、証拠としての価値を失わせる行為です。証拠を物理的に破壊したり、隠したりするだけでなく、証人を隠す行為も該当します。

「偽造」とは、実在しない証拠を新たに作り出すことです。

「変造」とは、証拠の内容に変更を加えることです。

「使用」とは、偽造・変造された証拠であることを知りながら、捜査機関・裁判所に提出することです。

 

~処罰~

3年以下の懲役または30万円以下の罰金です

 

~親族間の特例~

犯人蔵匿罪、犯人隠避罪、証拠隠滅罪については、犯人・逃走者の親族がこれらの者の利益のために犯したときは、その刑を免除できることが規定されています(刑法105条)。

親族とは、親、子、配偶者、祖父母、孫等が該当します。

ただし、刑法の規定は「刑を免除することができる」と規定されてだけであり、必ず免除されるとは限りません。

 

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