嫌がらせの注文が偽計業務妨害事件に
偽計業務妨害事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
奈良県天理市に住む主婦のA子は隣人とごみの出し方や騒音問題などでたびたび口論をしていました。
あるとき、隣人の騒音に我慢ができなくなり、A子は隣人の名前と住所でピザの宅配を30枚注文しました。
隣人の家にピザが届きましたが、当然隣人には身に覚えがなくピザ屋に説明していました。
ピザ屋としても大量の注文を間違いで済ませられるはずもなく、奈良県天理警察署に通報しました。
奈良県天理警察署はピザ屋に対する業務妨害罪で捜査を開始しました。
A子も警察に話しを聞かれ、その際に否認しましたが、今後警察の捜査で特定されてしまうのではないかと不安になっています。
そこでA子は、刑事事件に強い弁護士の無料法律相談へ行き、今後の対応について相談することにしました。
(この事例はフィクションです。)
業務妨害罪
今回の事例は一見すると人を騙しているので詐欺罪が成立するのではないかと考える方もいるかもしれません。
しかし、詐欺罪は、人を騙して財物の交付を受けることによって成立する犯罪ですので、今回のA子は財産的な利益を得ていないことから、詐欺罪は成立しないでしょう。
では、今回のA子の行為が犯罪にならないのかというと、そうではありません。
A子の行為が何の犯罪に抵触するのかを検討するとピザ屋に対する業務妨害罪に該当する可能性が高いでしょう。
詐欺罪が、人の財産を保護することを目的にしている法律であるのに対して、業務妨害罪は人の業務を保護することを目的にしています。
偽計業務妨害と威力業務妨害
業務妨害罪には刑法第233条の偽計業務妨害罪と、刑法第234条の威力業務妨害罪があります。
どちらも、人の業務を妨害することで成立する犯罪ですが、その手段、方法によって「偽計」か「威力」かが決定されます。
「偽計」によって、人の業務を妨害すれば「偽計業務妨害」となります。
続いて「偽計」とは、人を騙したり、人の錯誤、不知を利用したり、人を誘惑したりする他、計略や策略を講じることです。
今回の事件のように、勝手に他人の家に出前を注文する行為は、ピザ屋の店員を騙しているので、偽計業務妨害罪でいうところの「偽計」に当たるでしょう。
そして、偽計業務妨害の偽計ではなく、「威力」を用いて、人の業務を妨害すれば「威力業務妨害罪」となります。
威力業務妨害罪でいうところの「威力」とは、人の意思を制圧するような勢力を意味します。暴行や脅迫はもちろんのこと、それに至らないものであっても、社会的、経済的地位・権勢を利用した威迫、多衆・団体の力の誇示、騒音喧騒、物の損壊等およそ人の意思を制圧する勢力一切を含むとされています。
業務妨害罪は、偽計業務妨害罪も威力業務妨害罪も同じ「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が規定されています。
弁護活動
業務妨害の弁護活動としては、被害者との示談交渉が挙げられます。
業務妨害はその犯罪の特性から今回の事例のピザ屋のように店舗が被害者となることが多いです。
店舗が被害者となった場合、店舗の規模にもよりますが、個人との示談交渉は受けてもらえないという可能性があります。
そのため、店舗が被害者の示談交渉には、弁護士を選任するようにしましょう。
弁護士が示談交渉を行うことで、示談交渉の相手方も安心して交渉を行っていくことができますので、示談締結の可能性も高くなるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が無料相談、初回接見を行っています。
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