冤罪事件でポリグラフ検査を受けることに
実際には起こしていない刑事事件の被疑者として扱われているいわゆる冤罪事件と、ポリグラフ検査について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県生駒市在住のAは、生駒市内の会社に勤める会社員です。
ある日、Aの自宅に生駒市内を管轄する生駒警察署の警察官が自宅に来て、お話が聞きたいから警察署まで来てくれないかと言われました。
Aは仕事があるからすぐにはいけないと回答し、警察官に連絡先を伝えて後日出頭することになりました。
心当たりがないままに出頭したところ、Aは「奈良市内のコンビニエンスストアで忘れ物の財布が無くなった」という事件の捜査対象になっていることを伝えられ、Aは否認したところ「防犯カメラにはあなたしか映っていないんですよ。」「そこまで頑なに否認するのであれば、次回はポリグラフ検査を行います。」と言われました。
不安と憤りを覚えたAは、刑事事件専門の弁護士に、無料相談を依頼しました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【冤罪事件とは】
冤罪は、実際には起こしていない事件に於て被疑者として捜査を受ける場合を指します。
過去には死刑判決を受けたて47年にも亘り収監されたのち、再審請求で釈放を言い渡されたという事件などもある重要な課題です。
冤罪事件の多くは、客観証拠に乏しく証拠収集が容易ではない事件です。
今日では科学技術の発展や防犯カメラ設置台数の増加により客観的な証拠の正確性が高くなっているため、冤罪事件そのものは少なくなっている可能性が高いですが、2004年に殺人罪で有罪判決を受けた看護助手の方が12年もの間服役し、その後に無罪判決が言い渡されるなど、冤罪は今日でも、誰でも、起こり得ることなのです。
【ポリグラフ検査とは?】
ポリグラフ検査とは、睡眠時無呼吸症候群などで用いられる検査手法の一環で、刑事事件で被疑者が否認している場合の取調べにも用いられることがあります。
捜査で用いられるポリグラフ検査では、被疑者の取調べに際し、質問ごとの心拍数や呼吸回数、発汗などのデータを取得します。
まず、ポリグラフ検査は供述拒否権(黙秘権)に関わる内容でもあることから、捜査をする場合には被疑者の同意を要します。
ポリグラフ検査の捜査そのものは科学捜査研究所の技師など専門家が行い、汗や呼吸数、心拍数などの生理学データを収集することが目的です。
なお、ウソ発見器という言葉は正確ではなく、被疑者の記憶を確認するものであり、●●の質問に於て、被疑者は自分の記憶と異なった回答をしている、ということを証明するものです。
【ポリグラフ検査の証拠能力】
ポリグラフ検査の証拠能力について、判例は「同意のあつたポリグラフ検査結果回答書は、その検査結果が検査者の技術経験、検査器具の性能に徴して信頼できるものであり、かつ、検査の経過および結果を忠実に記載したものであるとき(原判文参照)は、証拠能力がある。」と判示しています。(昭和42年(あ)2188号 最高裁決定)
【冤罪事件での弁護活動】
被疑者側が冤罪を主張した場合、捜査機関は圧迫感を覚える取調べを行ったり、嘘の説明をするなどして被疑者から事件について認める旨の供述を引き出そうとします。
弁護士としては、違法な取調べが行われた場合には厳重に抗議したり、状況に応じた黙秘権のアドバイスをするなどして、被疑者の意に反した供述調書の作成を回避するよう努めます。
また、供述調書などが既に作成されている場合については、裁判でその信用性を争うなどの対応が必要です。
冤罪事件で捜査対象になっている、ポリグラフ検査を受けることになっている方は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。