生徒に対する暴行事件
生徒に対する暴行事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
奈良県天理市の私立高校に勤務している男性教員Aさん(50歳)は生徒指導を担当しており、日ごろから生徒の服装や、髪型を厳しく指導しています。
そんな中、1年生の男子学生数名が髪の毛を茶色に染めており、Aさんはこれまで何度も指導していますが、学生等は一向に黒く染め直す気配はありません。
注意を聞かない学生の態度に腹を立てたAさんは、ついに髪の毛を染めている学生の一人を生徒指導室に呼び出し、生徒の顔面をビンタした上、無理矢理、髪の毛をバリカンで剃り上げ、学生を丸坊主にしました。
学生の両親が高校に苦情を入れたことからAさんの行為は問題視され、学生は、奈良県天理警察署に被害届を提出しました。
(この事例はフィクションです)
昔から、学校内における、教師から生徒に対する体罰には様々な意見があります。最近は、いかなる指導の場においても、有形力を行使する暴行行為は、体罰であるとされており、そのような体罰行為に対して、暴行罪や傷害罪等で刑事事件化されることも珍しくありません。
本日は、この様な体罰事件を刑事事件専門の弁護士が解説します。
~暴行罪~
刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する
暴行罪における「暴行」とは「人の身体に対する不法な有形力の行使」とされています。
他人を殴る蹴ったり、他人の衣服を引っ張ったりする行為だけでなく、大太鼓を叩くなど、音を鳴らし続けるといった行為も「暴行」に含まれます。
今回の事件の「髪を剃る(切る)」という行為も、「暴行」にあたるとされており、昔の裁判で同じように判断しているものもあります。
「髪を切る」という行為が傷害罪に該当するという判断をした裁判もありますが、最近では「傷害」とは「人の生理的機能に障害を加えること」とされています。
「生理的機能に障害を加える」とは、傷を負わせる、失神させるなど健康状態や生活状態に変更をもたらすような行為のことをいいます。
「髪を切る」ことは「生理的機能に障害を加える」ことに当てはまらないので、傷害罪には該当せず暴行罪が適用される可能性が高いでしょう。
暴行罪で起訴されて有罪が確定すれば「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」が科せられます。
~傷害罪~
今回の事件で、Aさんは学生の顔面をビンタしています。この暴行行為によって、学生が怪我をした場合は、傷害罪が適用されます。
怪我をしているかどうかによって、傷害罪がてきようされるかどうかが判断されますが、怪我をしているかどうかは、医師の診断によって判断されます。
なお、傷害罪の法定刑は、暴行罪よりも厳しく「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
~弁護活動~
暴行罪や傷害罪の弁護活動については、被害者との示談交渉がメインとなるでしょう。
治療等でかかった費用を弁償するだけでは減軽が約束されるものではなく、確実に不起訴処分等の減軽を求める場合は、被害者と示談を交わし、その中に宥恕の条項を加える必要があります。
被害者と宥恕の条項のある示談を締結することができれば、暴行事件や、軽傷の傷害事件であれば不起訴処分も期待できるでしょう。(同種の前科、前歴がない場合)
こういった詳しい見通しについてはさまざまな要素によって変わってきますので、詳しくは刑事事件に強い弁護士に相談するようにしましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では暴行事件などの刑事事件に強い弁護士が無料相談、初回接見をおこなっております。
フリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、奈良の暴行事件、傷害事件、その他刑事事件でお困りの方はお気軽にお問い合わせください。