刑事事件では、「ある朝突然、家に警察官がやってきて息子が逮捕された」なんてことも珍しくありません。
今回のコラムでは、逮捕された場合の事件の進み方や弁護活動についてご紹介します。
逮捕されたら
刑事事件では逮捕されると、72時間以内に勾留の判断が行われます。
検察官が勾留請求を行わなかったり、裁判官が勾留請求を却下した場合には釈放され、家に帰ることができます。
一方で、勾留が決定してしまった場合には、さらに最長で20日間、身体拘束を受けることになります。
勾留が決まるまでの間や勾留の決定後は、当然、会社や学校には行けませんので、長期間にわたって会社や学校を休むことで、会社や学校に逮捕を知られてしまうおそれがあります。
逮捕を知られてしまうと、事件を起こしたことも知られてしまいますので、退学処分や解雇処分につながるおそれがあります。
そういった事態を避けるためにはどうしたらいいのでしょうか。
上記のような事態を避けるためには弁護士に相談をすることが重要になります。
弁護士が身柄開放活動を行うことで、釈放を認められる場合があるからです。
釈放に向けて勾留前にできること
そもそもなぜ、事件を起こすと逮捕されたり、勾留されたりするのでしょうか。
逃亡や証拠隠滅のおそれがあるからです。
実際に、検察官が勾留請求を判断する際や、裁判官が勾留の是非について判断する際には、逃亡の危険性があるか、証拠隠滅の可能性はあるかを考慮して判断します。
容疑者が逃亡したり、証拠隠滅をする可能性が高いと勾留が付いてしまう可能性が非常に高くなります。
例えば、殺人罪などの重い刑罰が予想される犯罪では刑罰から逃れるために逃亡するのではないかと判断されやすいですし、ひき逃げなどの場合には犯罪の性質上、一度逃げ出しているわけですから、逃亡の可能性が高いと判断されるおそれがあります。
また、証拠隠滅と聞くと、凶器や手袋などの物的証拠を隠したり破棄するイメージを持たれる方も多いと思います。
実は、容疑者や被害者、目撃者などの供述も証拠となります。
ですので、不利な供述をしないように迫る行為や、有利になるように供述内容を変更するように働きかける行為も証拠隠滅にあたります。
共犯者がいるような事件では、口裏を合わせる可能性があるとして証拠隠滅の観点から勾留が決定してしまうおそれがありますし、容疑者と被害者が知り合いであったり同じ家に住んでいる場合には被害者との接触が容易であるとして、勾留が付きやすいです。
上記のように、逃亡や証拠隠滅の可能性が高いと勾留されてしまうため、釈放を求めるうえでいかに逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを訴えるかが非常に重要になってきます。
弁護士は勾留が決定する前であれば、検察官や裁判官に勾留に対する意見書を提出することができます。
この意見書では、容疑者の家族が身元引受人になり容疑者を常に監視監督できることや、家族の監督により事件現場には絶対に近寄らせないこと、被害者や共犯者と接触させないことなど、逃亡や証拠隠滅を行えない環境を整えていることを訴えます。
また、出勤や出席できないことで、会社や学校に事件のことが知られる可能性が高くこのままでは解雇や退学のおそれがあることを書面にすることで、早期に釈放をしなければならない事情を訴えます。
意見書を提出することで、弁護士の訴えが認められ、勾留されずに釈放を認めてもらえるかもしれません。
この意見書は勾留が判断される前までにしか提出できないため、期限は最長で逮捕後72時間しかありません。
この72時間の間に、有利になる材料を集め、書面を作成しなければなりませんので、勾留前に釈放を目指すのであれば、できる限り早く弁護士に相談をする必要があります。
勾留決定後の釈放
では、勾留が決定してしまうと釈放は認められないのでしょうか。
結論から言うと、勾留決定後であっても釈放は認められます。
弁護士に相談をした時にはすでに勾留が決定してしまっていたり、弁護士が意見書を提出したものの釈放を認められず勾留が決定してしまった場合があると思います。
勾留が決定してしまった場合には、弁護士は裁判所に対して勾留決定に対する準抗告の申し立てを行えます。
この準抗告の申し立てについても重要となるのは、逃亡や証拠隠滅のおそれがないかどうかです。
弁護士が裁判所に対して準抗告の申し立てを行うことで、勾留満期を待たずに釈放してもらえる可能性があります。
この準抗告の申し立ては、勾留決定後、勾留の満期が訪れるまでの間であればいつでも申し立てを行えます。
ですので、勾留が決定した当日に申し立てを行い、弁護士の主張が認められれば、即日釈放してもらえる可能性もあります。
一度、勾留が決定しているのだから釈放は認められないんじゃないの?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
勾留決定に対する準抗告の申し立てを行った場合、勾留を判断した裁判官とは別の裁判官が再度勾留について、判断することになります。
判断をする裁判官が変わりますので、弁護士の主張が認められずに勾留が決定してしまった場合であっても、勾留後に釈放を認めてもらえる可能性は十分にあります。
逮捕されたら弁護士に相談を
以上のように、逮捕された場合には、弁護士による身柄開放活動で釈放が認められる可能性があります。
勾留前に釈放を目指す場合には、遅くとも逮捕後72時間までには、勾留に対する意見書を提出する必要があります。
また、この意見書を提出しない場合、釈放を求める機会が2回失われてしまうことになります。
貴重な機会を失わないためにも、暴力事件や交通事件などで大切なご家族様が逮捕された場合には、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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