~昨日からの続き~
示談交渉
1.示談とは
示談とは、被害者との間の合意のことをいいますが、通常、加害者が被害者に対して被害弁償をする一方で、被害者が加害者を許し、今回の事件については当事者間で解決したとする合意のことを指します。
被害者のいる犯罪においては、被害が金銭的に回復されたかどうか、被害者が被疑者に対してどのような感情を抱いているかどうかが、検察官が終局処分を決めるときや裁判官が宣告刑を決めるときに重要な意味を持ちます。
そのため、弁護人は、被疑事実・公訴事実に争いのない場合には、被害者との間で示談を成立させれるよう努めます。
2.示談交渉を弁護士に任せるメリット
もっとも、理論的には、被疑者(被告人)が被害者と直接示談交渉を行い、示談を成立させることは不可能ではありません。
しかし、一般的には、弁護士を介して示談交渉を行います。
というのも、そもそも被害者の連絡先を知らないことが多く、その場合には捜査機関を通じて入手することになるのですが、罪証隠滅のおそれから捜査機関が被疑者に被害者の連絡先を教えない、被害者が恐怖や嫌悪感から被疑者と直接やりとりすることを拒む、といった事情により、被疑者やその家族が被害者と連絡すらとれないことが多々あるのです。
また、被疑者が逮捕・勾留されている場合には、物理的に被疑者が被害者に連絡をとることは不可能です。
そのような場合であっても、弁護士限りであれば、被害者の連絡先を教えてもらうことができる場合も多く、弁護士を介して示談交渉を行うメリットの一つとも言えます。
仮に、被疑者が被害者の連絡先を知っていたとしても、被疑者自身やその家族などの関係者が直接被害者にコンタクトをとることはお勧めできません。
なぜなら、当事者間での交渉は、感情論的になりやすく、やったやってないの水掛け論となり交渉が難航することが多いからです。
弁護士を間に挟むことによって、冷静な交渉を行い、両者が納得できる内容の示談を成立させることにつながります。
また、被害者の連絡先が分かっていたとしても、被害者との話し合いを自ら行うことに躊躇される被疑者の方も少なくありません。
この点でも、弁護士を代理人として示談交渉を進めることのメリットと言えるでしょう。
示談交渉の結果、合意が成立すれば、示談書を作成することになりますが、その内容に被害者の被疑者(被告人)に対する気持ちを盛り込むことがあります。
被害者の気持ちには、様々なものがありますが、被害者の被疑者に対する許しの気持ちあれば、不起訴あるいは執行猶予となる可能性を高めることができます。
終局処分にも影響し得る示談交渉は、刑事事件に強い弁護士に任せるのがよいでしょう。