奈良県天理市の刑事事件で示談が成立 刑事手続きにおける示談~①~

奈良県天理市の刑事事件で示談が成立した弁護活動を例に、刑事手続きにおける示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

奈良県天理市の飲食店街において、通行人同士の喧嘩が発生しました。
会社員のAさんは、喧嘩の仲裁を試みたのですが、一当事者の反抗的な態度に腹が立ち、拳で顔面を殴ってしまいました。
現場に駆け付けた奈良県天理警察署の警察官は、Aさんを署に連行し事情を聴いています。
Aさんは、殴ったことについては自分が悪いと反省しており、相手方に対して謝罪と被害弁償をしたいと思っていますが、直接のやりとりでは上手くいのではと心配しています。
(フィクションです)

被疑事件についての弁護活動

起訴前、つまり被疑者段階における弁護活動の目的は、被疑者の権利・利益を擁護することです。
被疑者段階での弁護活動は、主に、捜査官による捜査に対する活動、被疑者の釈放に向けた活動、そして、検察官による終局処分に向けた活動とがあります。

捜査に対する活動は、被疑者に対する取調べや捜索差押えなどの捜査に対して、弁護人はどのように対応すべきかを被疑者にアドバイスを行います。
また、捜査機関によって違法・不当な捜査が行われた場合には、それを止めるべく行動します。

被疑者が逮捕・勾留されているケースにおいては、身体拘束によって被疑者や家族が被り得る不利益を最小限に抑えるためにも、弁護人は、逮捕・勾留を回避するために身柄解放活動を行います。

そして、弁護人は、検察官が行う終局処分について、できる限り寛大な処分となるよう働きかけます。
被疑事件につき起訴・不起訴の判断、及び、起訴するとしても略式起訴か公判請求かを決めるのは検察官です。
そのため、弁護人は、不起訴で事件を終了できるよう、起訴が免れないとしても略式手続で済むよう、被疑者にとって有利な事情を提示し、検察官が判断をする際に考慮するよう求めます。
検察官は、「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる」(刑事訴訟法248条)とされています。
公訴を提起しない、つまり不起訴処分とする判断要素には、被害者との間で示談が成立しているか否かという点が含まれます。

~明日に続く~

 

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